平成17年7月5日、私が初めてブログなるものに挑戦した日であります。
翌年10月28日にmsnから忍者ブログに引っ越ししてもう1年。
誰か来てくれるのかなと思いながら始めたブログでありますが、振り返ってみると予想もしていなかったアクセスの数には、ただただ驚きと共に深く感謝するばかりです。
片田舎にいながら、大げさではなくそれこそ世界中に情報を発信し、海外を含めた多くの方々と繋がる機会を持たせて頂いたことは望外の喜びであり、コメントを頂いた方々のお顔やお姿をあれこれ想像しながら、本当に楽しい時を過ごさせて頂きました。
また、このブログが御縁で、予想だにしなかったコンサートまで行わせて頂いたことは、おそらく一生、忘れることがない想い出になることでしょう。
最近、いろいろと他に時間を取られることが多くなり(患者数はあいかわらずなんだけど・・しくしく)、ブログにあてることができる時間が少なくなってきました。せっかくコメントを頂いても長い間野ざらしにしたり、みなさんのブログに行かせて頂く機会もめっきりと少なくなってしまいました。
失礼なことをしてるなあ・・そんなことばかりを思いながらブログに向かっていると、心から楽しんでいない自分に気がついたのです。やっぱり、ブログはわくわくするくらい楽しまないとね。
そんな訳で、季節はずれではありますが、やぶは10月からしばらく冬眠に入ろうと思っております。
いつかまた、私のどたばたの日常を紹介したくなった時、再びここに戻って来る時が来るでしょう。その時はまた、今までにも増して暖かく迎えてやって下さい。
ではみなさん、しばらくお別れです。
楽しい時間を本当に有り難うございました。
あ、これからも時々、みなさんのブログにはお邪魔いたしますね。
冬眠中だからといって邪険に扱わないように。
ブログを通じて頂いた、たくさんの繋がりに感謝して。
認知症というのは、意外に診断がしにくい・・というか、こちらに認知症を疑うアンテナがないと、見逃すことの方が多い疾患なのである。
もちろん、周囲が「おかしいぞ」と思うような行動や言動が頻回となると、診断はあまり困難ではないが、大して周囲に迷惑を及ぼさないような生活をしている方は、意外に認知症とは気づかれにくい。
特に医者は、診療所という特別な環境で、あまり長いとは言えない時間だけしかその方と接する機会がないため、相当進行した認知症でも平気で見逃してしまうのである。
前立腺肥大症でもう何年も私の診療所に通っている方に認知症の疑いがあるのではとの報告が入った。
ヘルパーさんに連れられて診察室に入ったその方を見ても、すこし反応が鈍いような気がするだけで、特別、普段と変わった様子はない。
ただ、認知症の疑いがある旨の報告が入っているので、念のために記憶力のテストをやってみると、なんとこれが相当重度の認知症なのである。
ヘルパーさんに「どうして認知症を疑ったの?」と尋ねてみると、薬がちゃんと飲めていないからとの応えが返ってきた。
ちゃんと薬を飲んでいると思っているのは医者ばかりなり・・よく確認すると、相当以前より、まともな服薬ができていなかったそうである。どうりで、最近ちょっと調子が悪いはずである。
食事量が充分でないようなので、高カロリーの医療用の栄養ドリンクを処方していたのであるが、それにもかかわらず最近、痩せが目立つのである。
「あの・・もしかしてドリンクもちゃんと飲んでなかったの?」
「いえ、飲んでます」 と患者さん。
「飲んでるのなら、そんなにどんどんと痩せて来ることはないでしょ」
そう言いながら、後にいるヘルパーさんに、「ほんとのところはどうなの?」と尋ねると、
「先生、ドリンクを飲んでいるのはその方が飼ってる犬です。おかげで犬は太り過ぎてすごいことになってます」
時間外、特に真夜中などに枕元に置いた電話にたたき起こされるのは決して愉快なことではないが(正直、大嫌いです)、それが急患からの切羽詰まったSOSならやむを得ないと諦めもつく。
相手は生もの?なのである。診療所が開いている時間帯だけに都合良く状態が悪くなってくれる訳がない。また、真夜中に医者を呼び出す患者さんの方も、相当気を遣うだろうことも想像に難くないし。
ところが、電話の向こうから聞こえる声がとても明るかったりすると、正直、「朝まで待てんか?」と言いたくなるのである。
「先生~、○○です~」
深夜に親しげに話しかける声。
「いや~、またおしっこが出なくなって・・」
人の名前を覚えるのが極端に苦手な私でも、これが真夜中に数度目の呼び出しとなると、さすがに先方の顔が浮かんでくるのである。
この方は前立腺肥大症があり、薬を服用している時は調子がいいのであるが、すぐに自らの判断で受診を中止する。でもって、悪くなるのはどういう訳か、いつも真夜中なのである。
「じゃ、いつものように、これからすぐに診療所の方に行きますので」
おい、私はまだ診るって言ってないだろうが・・。
断られることなど夢にも思っていない患者さんは、それだけ言ってさっさと電話を切った。
求められるままに、真夜中の診察を受けてばかりいるのはよくないのだろうか。さりとて、もう私の家の電話番号や携帯の番号は広く知れ渡ってしまっている。診たことがない患者さんから携帯に電話が入った事もあったし・・。
なんとなく釈然としない気持ちを引きずって真夜中の診療所に出勤すると、その方は真っ暗な診療所の前で私を待っていた。
「いや~、先生。いつもいつもすみませんなあ~」
この明るさが逆に神経にさわる・・。
診療所のドアを開け、自動ドアのスイッチを入れ、先に中に入ってカルテを探す。事務員がいないものだから、なかなか見つからないんだ、これが。さっさと処置をすませて早く帰りたいのに・・。
ようやくカルテを見つけ、診察室に行くと・・患者さんはそこにいないのである。何やってんだよ!
見ると、ドアの所で立ち止まって、しきりにキョロキョロと周囲を見渡している。
「○○さん、何やってるの? 早くこちらに来てください」
それでもその場所を動かない患者さん。そして明るくひとこと。
「先生、このドア、閉まりませんけど・・。真夜中だから、ドアが開いたままだと用心が悪いでしょう?」
お前がそこに立ってるからやないか~!
真夜中の天然ボケは、決して気持ちよく笑えないことを学んだ私なのでありました。
私は講演コンサートを始める際、最初にいつも面白い話題を提供して、みなさんの反応を見るのを常としている。
みなさんが心から笑ってくれる時はこちらも嬉しくなり、講演にも自然と入っていけるのであるが、反応がいまいちの時は、それから以後、話す言葉ひとつひとつに神経を使うことになり、私自身が楽しむことを許されない講演になってしまう場合が少なくない。
「私はこのようにギターなんて持ってきておりますが、決して音楽のプロではありません。所詮、素人に毛が生えた程度のものなんです。素人にまで毛が生えられるのに、なんで私には毛が生えないのでしょう・・」
会場、爆笑。そこまで思い切り笑わなくても・・。
それから1時間半近く、私の思いと歌を聴いて頂き、講演は無事に終了した。そして来たのである・・思ってもいなかったアンコールが!
アンコールが来る講演・・これほど幸せな講演があるんだろうか。
すべてが終わり、音響機器を撤収しながら、そしてしみじみと思うのである。
「こんな経験、いくらお金を積んだって、そうそうできるもんじゃないよなあ」・・と。
これで私の担当はすべて終了した訳であるが、私は夕闇が訪れたグラウンドにもう一度出てみた。撤収時のドタバタで「もか。」さん達とはぐれてしまった私は、ひとりで次第に夜に向かうグラウンドを歩き始めた。
いつしかグラウンドの内側にはロウソクの灯りがともり、いろいろなメッセージを浮かび上がらせていた。
「○○さん、いつかそちらで逢おうね」
「がんになって優しさを知りました」
「負けない、負けない、負けない!」
「来年もまたRFLで会おう」
そして、最も私の心に残ったひとこと。
「がん、あっちへ行って!」
がんも身のうち。それはまぎれもなく自らの身体から生まれてしまう病気なのである。無理矢理切り離そうとすれば、必然的に自らの身体をも深く傷つけてしまう。病と闘おうとすれば、その刃が自らにも向いてしまう理不尽な病なのである。
自らの身体に分かち難くある存在を、それと理解していながら、なお遠ざけたいと思う心の叫び。がんになって人の優しさや勇気を知る人も決して少なくないが、その根っこには、あえて知る必要もなかったはずの悲しみや不安、時として怒りなどがあったという当たり前のことを、私は改めて知ることになったのである。
ここは、多くの悲しみや不安の上に築かれた勇気や優しさで満ちあふれている。
大学に残っていれば、きっとこんな素敵な経験はできなかっただろうなあ・・。
再び巡り会った「もか。」さん達と一緒にグラウンドを歩きながら、私はそんなことを思っていた。
おしまい
蛇足になるが、今回のRFLには、NHKを始め、多くのマスコミが取材に来ていたようである。特にNHKは生中継があり、私の家族はテレビ画面を見ながら私の姿を探したようであるが、その私と言えば、フィールドに設えられたインタビュー席の2メートルほど横にあるテントの中で、すっかり疲れ果てて座り込んでいた訳で・・。ちょっと移動してインタビュー席の後を歩けばそのままテレビに写れたのであるが、ハレーションを起こしたらまずいし・・って自分で言ってどうする。
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その距離、開院後10年間で約20万キロ・・地球をぐるりと5回転。よく走ったもんだ。
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